先日亡くなった詩人の長田弘さん。
訃報を聞き思わず本棚を捜索しました。
数年前に購入した『世界はうつくしいと』は
こんな風にはじまります。(以下、抜粋)
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うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。
ふと気がつくと、
うつくしいという言葉を、
ためらわず口にすることを、
誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は
貧しくなった。
うつくしいものを
うつくしいと言おう。
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初めてこの詩をよんだ時ふと我に返り
「うつくしい」と言葉にしたのは
いつのことだろう。。。と考えました。
「カワイイ」とか「超キレイ」
なんて言葉にすり替えて、
そのうつくしさの価値を軽く扱っていたと
ハッとしたのを思い出します。
そしてこの言葉を会話の中、口語として
使うことの難しさを改めて感じました。
とても強い言葉である一方、
概念的で主観的なものでもあるから。
今もなかなかまっすぐに「うつくしい」と
言えない私は、
「うつくしい」という言葉を使わずに
「うつくしい」ことを表現するために
日々悩み愉しみながら、
物を書く仕事をしています。